第2回



−牧水の丘より−

 桜の時期が終わり、ブナの林には淡緑色のつぼみがふくらんでいました。
八幡の荒生田という市街にある小高い丘のブナ林は、古道の石仏に出逢う様な面影の残る静かな坂道にしばらく立ち止まってみました。
ブナ林は、保水力抜群で天然のクーラーと言っていたことを思い、その風のざわめきは自然の音で、今の時代にとてもなつかしい思いが致しました。
ちょうどこの場所に昨年の秋、やはりブナ科の山栗が落ちていました。
大切に拾ってその日の花材に。牧水の丘へ急いだものでした。
テーブルの上に準備されたかわいい花瓶、早速チューリップ、バラ、カーネーション、鳴子百合とならべて見ました。
最初は「手がきかないので−」と両手を膝の下に入れてしまう方、又「子供には習わせたけど、私は働くばかりだったから知らない」といって戸惑う方が殆どでした。スタッフに促され、ご一緒していると両手を動かし 花はいいね−とやってみたいというモチベーションが高まって、時が経って終わる頃には、幼い頃の里山の風景が出て来て語りだした時は、うれしいひとときでした。私が帰り仕度のごあいさつを致しましたら、玄関までと言ってHさん、Fさんは主婦の振る舞いの中「お足元にお気をつけて」と。
その顔面が紅く輝いてみえたのは、私の気のせいだったのでしょうか。
古い言語でも美しいひびきは、心豊かなものをいただいたものでした。
ふもとに近づいて、今日もいい一日でした。と合掌 土手のスミレが優しく並んでゆれていました。

第1回 第3回 第4回 第5回

  
Copyright (C) 2007 ELDER SERVICE Corporation. All Rights Reserved