第1回



 一年の過ぎ去ること、なんという速さでありましょうか。ついこの間から、「いけばな」の時間でお客様と、過ごす様になったばかりと思っていましたのに。今は、お客様の価値観、求められるレベルの変化にどの様にしたら納得してもらえるか、植物の生命の流れは時には岩をも通す力を持っていることをいけばなの道を通して判って頂きたいのです。
せっかくのご縁を大切に致したいと思います。“いけばな”と表現しますとお客様へ抑しつけになりますので、私は行為として実践しています。皆様が草木に触れる時の優しい眼差し、会話や笑み、それを言葉にも、具体的な行為にも表現出来なくても、心に思ったということは事実なのです。紛れもなく“過去が咲いている今”ではないでしょうか。ただその中に満足感が何%あるかが大切です。
先日のことでした。ワイングラスに押したお花が余程気に入ったのでしょうか。御自分のお部屋に置くから持って帰りたいとご利用者が希望されました。この愛おしい気持ちは裏切ることが出来るでしょうか。私は名札を拵えたワイングラスの作品に貼って、皆さんにも見て頂くことを説明しました。きっと花に興味を持って下さることでしょう。それは人生という花を実らせた大樹がお客様ご自身だからです。これは私に仮せられるテーマでもあります。いけばなの歴史の中にも中国の古代の哲学である陰陽五行説に基づき、自然界すべての草木からの色、香り、育成が<陰と陽にわけ> 医療・介護の現場でも、謳われている今こそ、充分親しんで活用していきたいものです。

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