第5回  呆けてしまったと誤解されやすい病気 「うつ状態」

 認知症(痴呆)が疑われる時、最も気をつけておかなくてはならない症状の一つに「うつ状態」があります。物忘れがひどくなり、生活に支障を来たすようになる原因の約8割は脳血管性痴呆やアルツハイマー型痴呆で、確かに治療も困難である場合が少なくありません。しかし、「うつ状態」の場合も一見、認知症と変わらない症状を呈することがあります。(「仮性痴呆」と呼ばれます)高齢者がうつ状態に陥ることはしばしば認められ、約2割程度の方になんらかのうつ症状があると言われています。また、うつ状態は、多彩な症状を呈するため、すぐに気づかれないこともあります。うつ状態によって物忘れがひどくなってくる場合もありますので「歳をとって呆けてしまった」と間違われることが少なくありません。この場合は認知症と異なり、薬(抗うつ薬)によって劇的に改善します。近年の抗うつ薬は、高齢者にも副作用が少なく安全に使用できるため、安心して服用できるようになりました。
 高齢者が自殺をする原因としてもうつ状態は注目されており、自殺予防の点からもうつ状態への適切な対応が重要です。

うつ状態を疑うポイント
(うつ病エピソードの基準DSM-IV参照)
・気持ちが沈みこむ。悲しくなったり落ち込んだりする。
・興味や喜びが感じられない。
・食欲が減る、または増える
・眠れない、または眠りすぎる。
・動作が鈍い。あるいは、じっとしていられない。
・疲れやすい。やる気が無い。
・罪悪感を強く感じる。
・考えがまとまらない。物事に集中できない。
・死について何度も考える



            

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