今の日本の5人に1人は睡眠の問題を抱えているといわれ、なかでも高齢者は不眠に悩まされています。睡眠については、まだ解っていないことが多く、不眠に対しては、今後、新しい治療法も期待されますが、睡眠薬の服用は今ある対処法の中で有効な方法です。しかし、「睡眠薬をのむとボケる」と言われますから、服用してもいいものか心配されている方も多いのではないでしょうか。睡眠薬にはたくさんの種類がありますが、ほとんどがベンゾジアゼピン受容体作動薬※1です。この薬については長年にわたって使用されていることから、病院では効果や副作用が十分知られている比較的安心なものです。それでも、ボケると思われているのはなぜでしょうか。 それは、この種類の薬によってもたらされる「一時的な記憶障害」にあります。薬を服用し、効いている間は新しく情報を記憶する力が低下しているため、この期間は後になって思い出すことができません。これを「前向性健忘」※2といいますが、薬が体内で消失するともとに戻ります。従って、アルツハイマー型などの病的な認知症(痴呆)とは違います。これと同じことは、睡眠薬とほぼ同様に作用するアルコールでも「飲んだ後を覚えていない」と経験されることがあります。「睡眠薬は眠る直前に服用」することが大切です。眠るという目的のためであれば、肝臓に負担をかけ、習慣性の強いアルコールよりも睡眠薬のほうが優れていると言えます。しかし、睡眠薬は種類によって「強さ」や「作用時間」などが違うため、自分に合ったものを適切に選ぶ必要もあります。
「眠れないときどうしますか」というアンケートに対して、欧米では、「病院で薬(睡眠薬)を処方してもらう」というのに対し、日本で最も多かった回答は「酒をのむ」という結果がでています。睡眠薬についてはよく理解し、適切に使用することで、安心して良い睡眠がえられるのではないでしょうか。 |
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不眠症の治療薬は、主にベンゾジアゼピン系の薬が使われます。この系の睡眠薬は、繰り返し使用しても薬の効果が低下せず、適切な使い方をすれば、依存性を起こす心配もほとんどなく、誤って大量にのんでしまった場合にも命にかかわる危険性はないという利点があります。
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| ※2 |
ある時点から以降の記憶が障害されることを指します。たとえばベンゾジアゼピン系睡眠薬では服薬前の記憶は障害されませんが、服用後ある一定期間または夜間に中途覚醒したときのことを記憶していないという前向性健忘がみられることがあります。用量を増やした時やアルコールとの併用でみられることが多いです |
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